プロテインの毎日摂取は気をつけて!〜美意識と健康 vol.13〜
こんにちは!
colanの管理栄養士で
食事カウンセリングをしている上坂マチコです。
世の中は空前のプロテインブーム。
ヨーグルトやパン、スイーツ、カップラーメンにいたるまで
さまざまな食品が高たんぱく質をうたってヒットしています。
ダイエット相談や栄養相談でもプロテインを飲んでいる人が実に多いこと。
私は週に2回ほどジムに通っていますが、
ムキムキマッチョから普通体型の人までプロテインをゴクゴク飲んでいます。
なんならジムはプロテイン臭がするほど…。
毎日良かれと思ってプロテインを飲んでいる人は多いのではないでしょうか?
肉や魚などの食品からのたんぱく質に加え、
プロテインを毎日飲んでいる人は飲み方を間違えると
体に大きな負担をかけてしまいます。
たんぱく質の過剰摂取で腎臓が悲鳴!
昨今、成人男女のたんぱく質過剰摂取による腎機能障害が増えていると
病院関係者より聞きました。
三大栄養素の中で唯一、窒素(N)を含んでいるのがたんぱく質。
余分なたんぱく質はエネルギー源として使えない窒素部分を外すと
有害なアンモニア(NH3)が生成されます。
そして肝臓で無害な尿素に変換され、腎臓に運ばれて尿中へと排泄されるのです。
たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されています。
ほんの一部のアミノ酸は体内に蓄えられますが(アミノ酸プール)、
ほとんどの余分なたんぱく質は排泄されます。
たんぱく質の過剰摂取は腎臓や肝臓に
かなり負担をかけてしまうことが分かりますよね。
自分の腎機能や肝機能の状態を知らずに
プロテインに頼り過ぎるのはかなり危険と言えるでしょう。
腎臓のダメージは体全体のダメージ
腎臓が悪くなると老廃物が処理できなくなったり、
体液のコントロールも難しくなります。
すると全身の細胞や臓器が疲弊。老化も早まります。
腎臓は骨や免疫に対しても重要な働きがあります。
カルシウムの吸収を高めたり、
免疫力向上に関わるのがビタミンD。
ビタミンDは活性化して(活性型ビタミンD)はじめて機能します。
ビタミンDは肝臓に蓄えられ、腎臓で活性化。
よって腎臓が悪くなるとカルシウムの吸収低下によって骨がもろくなり、
免疫力も低下するのです。
また腎臓と心臓は「心腎連関」と言われるくらい関係性が深いです。
どちらかが悪くなればもう一方も悪くなるので、
腎臓が悪くなれば心臓も悪くなってしまいます。
ようするに腎臓のダメージは全身の健康状態に悪影響を与えてしまうということ。
肥満や骨粗鬆症にも
ダイエットのためにプロテインをよく飲んでいる人がいます。
飲むだけという簡単なこともあり、
一日に2〜3回プロテインに頼っている人も少なくありません。
実はそれが逆効果になることも…。
たんぱく質のとり過ぎは、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きを悪くするため
血糖値上昇により体重が増えやすくなってしまいます。これでは本末転倒。
また、たんぱく質の過剰摂取はカルシウムの尿中排泄量も増加。
骨折しやすくなったり、神経が乱れたり、ストレスにも弱くなったりします。
骨に関しては先に述べた腎機能低下による活性型ビタミンD不足も考えられるため
ダブルで骨粗鬆症の原因に…。
プロテイン過剰摂取によるメンタルへの影響
たんぱく質は体内にほとんど蓄えておけないので、
過剰なたんぱく質(アミノ酸)は尿中に排泄されます。
その際にアンモニアができますが、アンモニアは有害。
これを解毒するために「BH4(テトラヒドロビオプテリン)」という補酵素が使われます。
BH4はセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの
神経伝達物質を生成するときに不可欠な補酵素。
プロテインなどたんぱく質のとり過ぎでアンモニアが増えると
BH4もどんどん消耗されてしまいます。
すると心を穏やかに保つセロトニンや、やる気を起こすドーパミンが減り
メンタルが不安定になってしまうのです。
たんぱく質の一日の必要量とは?
たんぱく質は皮膚や筋肉、骨、内臓など体の構成成分で
ホルモンや神経伝達物質、酵素の原料。
免疫抗体や血液の成分、遺伝子などはたんぱく質の一種で、
大事なエネルギー源にもなります。
私たちの体はたんぱく質でできていると言っても過言ではありません。
では一日にどれくらい摂取したらいいのでしょう。
【たんぱく質の一日の必要量】
●健康目的の場合
体重×1.0gが下限値とし、体重×1.3gまでが上限値
●筋肉を増加したい場合(トレーニングしている人など)
体重×1.5gまでが上限値
*一日の摂取量は自分の健康状態を知って摂取しましょう。
たんぱく質は食事からとって、プロテインで補助
たんぱく質は食事から摂取することが基本です。
肉や魚など固形のたんぱく質を歯で噛んで飲み込んで、
消化・吸収してはじめて体のたんぱく質として働きます。
食品のたんぱく質には動物性と植物性がありますが、
おすすめは断然、動物性たんぱく質。
これらはアミノ酸バランスに優れているからです。
その中でも摂取してもらい動物性たんぱく質の順位は…
1位:魚
2位:鶏肉
3位:豚肉、牛肉、ラム肉などの赤肉
*卵は一週間で6〜7個までとし、乳製品は一日1回(ヨーグルト150gもしくは牛乳コップ1杯まで)が
理想的です。
この順番でたんぱく質食品の割合を考えて摂取するといいでしょう。
さらに魚や肉の間に植物性たんぱく質の大豆製品を挟んで摂取します。
豆腐や納豆などの大豆製品はたんぱく質ばかりではなくビタミン、ミネラル、
食物繊維、イソフラボン、オリゴ糖など栄養素が豊富だからです。
魚類や肉類は100g(片手のひら1枚分)で、たんぱく質約20gになります。
食事からでがどうしてもたんぱく質の必要量が満たない場合、プロテインの出番!
足りない分をプロテインで補えばいいのです。
あくまでも食事でとることをメインに、プロテインは補助として考え
一日の必要量に近づけるようにすると無理なくたんぱく質が補給できます。
まとめ的Q & A
Q プロテインは毎日飲んでも大丈夫ですか?
A
たんぱく質は体を構成する成分で、エネルギー源にもなる大事な栄養素。
ただし過剰摂取は腎臓、肝臓、メンタルにまでダメージを与えてしまいます。
さらに体重が増えることも…。
プロテインに頼り過ぎるとたんぱく質の過剰症を招きやすくなります。
毎日の摂取は注意しましょう。
Q プロテインはどういう時に必要ですか?
A
たんぱく質は基本、食事から摂取することが望ましいです。
ただ毎日毎日、一日の必要量を食事からとるのは無理がありますよね。
食事だけではどうしても不足するという時こそプロテインの出番です!
プロテインはあくまでも補助として考えるようにしましょう。
Q おすすめのたんぱく質はありますか?
A
断然、動物性たんぱく質です。
動物性たんぱく質は、体内で合成されず食事から摂取する必要がある9種類の“必須アミノ酸”が
バランス良く含まれているからです。簡単に言うと働きのいいたんぱく質ということ。
特に一番多く食べてもらいたいのが魚、次に鶏肉です。
colanではダイエット相談時に、個人に合ったたんぱく質の摂取方法もお伝えしています。